フィギュアスケートの歴史と現代の特徴

⒈フィギュアスケートの誕生

氷を張ったスケートリンクの上で華麗に滑るフィギュアスケートは、冬季オリンピックにも選ばれているスポーツです。

その誕生は旧石器時代にまで遡るといわれ、これまでにヨーロッパを中心に、原始的ながらもソリやスキーと一緒にスケートの道具が発掘されています。

スケートが大衆の娯楽になったのは、実は12世紀頃とかなり前で、既に800年以上の歴史はあると思われます。

発展したのは、凍った沼沢を利用した天然のアイスリンクが切っ掛けで、中世のオランダやイギリスにおいて楽しまれてきました。

オランダでは運河の建設が行われ、その後冬季に氷結する水面がアイスリンクになっています。

当時のスケートは階層に関係なく、多くの人達が楽しめる娯楽として広まりました。

ただ、農民階級は冬の効率的な移動手段、貴族階級は優雅な芸術性を重視するようになります。

現代のフィギュアスケートは、この芸術性を追求した貴族階級のスポーツがルーツで、農民階級由来のスケートはスピードスケートに進化しました。

オランダで広まったスケート滑走術がイギリスに伝わったのは、王政復古が叫ばれる1660年頃のことです。

伝えたのはイギリスに戻ったスチュワート家で、オランダ貴族の間で定着したダッチロールと呼ばれる滑走術が伝来されました。

腕を組んで円を描くように滑るその姿は、イギリス人の目にも優雅で芸術的に映り、瞬く間に人気が高まって流行しています。

一方、ドイツではいち早くフィギュアスケートをスポーツに位置づけ、多様な図形を掲載した百科事典が出版されたほどです。

⒉日本フィギュアスケートのルーツ

現在の形に大きく近づいたのは19世紀のことで、コンパルソリーフィギュアの原型が確立されました。

アメリカではヨーロッパ移民からスケートが伝わり、バレエと融合することで独自の発展を見せます。

バレエのステップや音楽に合わせた滑走が特徴で、現代のスケートにも通じることが分かります。

この滑走はあっという間に人気を博し、後にヨーロッパで披露された際も、人気を呼んで大成功を収めています。

日本に伝わったのは1877年のことで、札幌農学校に赴任したアメリカ人教師のウィリアム・ブルックスだと言われます。

ところが、当時はまだ外国人の娯楽に過ぎなかったので、本格的な広まりや定着は見せていないです。

日本フィギュアスケート史のルーツで有力とされているのは、同じくアメリカ人のデブィソンが仙台城の堀で子供達に教えた出来事です。

間違いなく功労者なのは、ドイツ語の教師からスケートを習い各地で普及に尽力した、仙台の旧制第二高等学校の生徒です。

これは1909年のことで、まだまだ初歩的なことに過ぎませんでしたが、しかし画期的で後に大きな影響を与えることになったのは確かです。

1914年に出版された本によって、ようやくスポーツとしてのフィギュアスケートが広く日本中で知られることになります。

1929年には日本スケート連盟の前身、大日本スケート競技連盟が創立されました。

創立の切っ掛けになったのは、1927年に開催された大日本氷上競技連盟の設立です。

大日本氷上競技連盟は全国学生氷上競技連盟のOBが中心メンバーで、東京帝国大学を始めとした7校が立ち上げています。

⒊世界的にトップクラスになっていった日本の選手

当時開催された日本学生氷上競技選手権大会は、今でも90年以上の続けられている歴史ある大会です。

オリンピックでは1908年に始めて正式種目入りを果たし、男女のシングルやペアなど、全4種目の競技が実施されました。

20世紀に入ると欧米諸国や日本でも、広く定着するに至っています。

20世紀は技術的に発展した100年で、競技として洗練されたり、魅せる技術のレベルが大幅にアップしたのが特徴です。

指導法も確立され、肉体的にも精神的にも強靭なものをもった選手が次々に輩出されました。

1990年代後半から2000年代は日本人選手の活躍が目覚ましく、将来の可能性を秘める若手の選手が台頭するに至ります。

特に、日本人で初めてオリンピック金メダリストが誕生してからは、日本国内だけでなく海外からの注目度も高まりました。

日本人として、またアジア人としても初の快挙ですから、一気に注目されるようになったのも頷けます。

2010年代に入ってからも、後続する選手が続々と登場しているので、これからもしばらくは日本人が活躍する期待が持てます。

事実、日本人スケーターは世界的に見てもトップクラスですし、技術力や安定性もかなり高いです。

スケートの進化に貢献している側面もあるので、今後もますます目を離すことはできないでしょう。

進化を続けるフィギュアスケートは、貴族の間で大切にされてきた優雅さと、芸術性が受け継がれているといえます。

円を描きながら次々に披露される技は、当時多くの人達を魅了してきた基本的な滑りに通じるのではと想像させます。

バレエのポーズやステップが採り入れられたり、音楽に乗って滑ることも、現在のスケートに大きな影響を与えたなくてはならない要素です。

回転数だけなら4回、それが5回連続で達成されていますから、もっと進化していくものと期待できます。

最終更新日 2025年6月27日 by uyhom